小型PCを作る(制作話)

今日は風が強くて寒いですねぇ。干瓢です。




というわけで作成した小型PCの制作話。DTMマシンはスタイリッシュであるべき!
ということで長いので続きから。




〜〜組み立て〜〜

今回はケースとマザーのみを購入し、他は余り物パーツを使用しました。


★(購入)ケース SST-SG05B

価格.com - SILVERSTONE SST-SG05B 価格比較
SST-SG05BというMini-ITX用ケース。秋葉原にて1万円程度で買いました。他にも候補があったのですが、偶然にも150台限定で、内部シャーシ黒塗装(通常はグレー)バージョンなる物を見つけてしまいレジへ。
ある程度奥行きが確保されているので、そこそこ長いカードを拡張できる。また専用電源を搭載しているおかげで全体としてのサイズも結構小さく収まっている。効率80%以上の300W電源というあたりも良いです。フロント部には12cmFANが1機搭載されています。
唯一気に入らない点は、シャーシは黒く塗装されているのに電源はグレーのままという点。どうせなら電源も黒く塗装して欲しかった。



★(購入)マザーボード GF9300-G-E

今回購入したのはZOTACMini-ITXマザーボード、GF9300-G-E。オンボードグラフィックが9400相当の「GF9300-I-E」という1ランク上のマザーもあるのですが、オンボードグラフィックをメインで使う予定がないことと、それによって消費電力も上がってしまう懸念があるためG-Eにしました。
LGA775プラットフォームでCPUを選ぶことができる点。CPU電源回路も6フェーズあるため、クアッドコアCPUも安定して動作させることができる点。メモリスロット2レーン使える。SATAポートが3つあるので、ストレージ配分に困らなそうな点。そして何よりPCI-Ex16スロットがあるのでグラフィックまわりを強化でき、無駄ハイエンドを狙える点で、このマザーボード以外にない感じでした。


★メモリー DDR2-800(5-5-5 16)

今回思い立った要素の1つに、「余ってるメモリをなんとかして消化したい」というのがあるのですが、コレが意外と1番大きな理由かもしれません。今回はDDR2-800の2Gバイトメモリ2枚。合計4Gのデュアルチャンネルになります。Trancendチップでレイテンシは「5-5-5 16」1.8V。持っているDDR2メモリの中では割と品質も信頼でき、高速なメモリです。
モリーに関しては特に設定せず、デフォルト定格で使用。


★CPU Core2Extreme QX9650

やっぱり時代のトレンドは4コアだねっ!ということで、手持ちで余っているCPUは、G0ステッピングのCore2Quad Q6600(2.4G)と、つい最近まで使っていたC1ステッピングのCore2Extreme QX9650(3.0G)。
どちらのCPUも定格倍率9倍なので、FSB周波数が同じであれば同じ動作クロックになるのですが、Q6600が65nmプロセス、QX9650が45nmプロセスで、同クロック時の動作可能電圧がQX9650の方が低いため、当然消費電力、発熱量もQX9650の方が低くなります。小さなケース内でヒートシンクも制限されてしまうことを考えるとやはりQX9650を使用するのが妥当だと思い採用。

モデルとしてはL739A638で、アタリ石とされているもの。低電圧での動作マージンも高くなるため、CULV的な使い方にも期待。


★グラフィックボード GeForce8800GT

マザーボードにはオンボードグラフィック(GeForce9300相当)が搭載されているのですが、PCI-Ex16がせっかく使えるのでグラフィックボードを使用。手持ちでそこそこ速く、カード長も極端に長くないものという事で、8000世代の名カードであるGeForce8800GT(G92)を乗せてみることにしました。8800GTS(G80 320MB)も候補にはあったのですが、プロセスも1世代小さい65nmで極端に消費電力が高いわけでもなく、パフォーマンスも断然こっちの方が高いため8800GTを採用です。
唯一の懸念事項は熱。同世代ハイエンド系カードで唯一1スロットを採用し、スペックには定評があったものの、爆熱具合にも相当な定評があった当カードなだけに、夏場耐えうるか微妙な場合は1ランク下のカードを使用するか、面倒だけどクーラーを換装します。


光学ドライブ

今回買ったケースは薄型ドライブしか使えず、手持ちもパナソニックのドライブしかなかったのでそれを使用。トレーはケースと同じ黒ベゼル。接続コネクタは普通のSATA電源が使えず、Slimline SATAケーブルというものを使用します。


★ストレージ WD6401AALS(640G)

ケースに積めるストレージはかなり制限されていて、3.5インチ1台、2.5インチ1台という組み合わせになります。2.5インチにシステム用高速SSD、3.5インチに大容量HDD、なんていう夢の組み合わせはできるはずもなく、とりあえず手持ちの範囲で用意したのがこの2台。WD製の初代Raptor(10000回転、74GB)と、サムスンのモバイル向けHDD(5400回転、250G)。
しかしいざインストールを始めると、Raptorのシーク音のカリカリ(っていうかガリガリ)っていう音が地をも唸らせるほどの轟音でちょっと鬱陶しくなった為使用中止。急遽7200回転の640GBに変更。

Raptorは当時こそ速いHDDだったものの、世代的にもかなり古くプラッタ容量も74GBと、今となっては転送速度も遅いため、もうここで使わないとなると使う機会はほぼ無いかもしれません。10000回転なので無駄に消費電力も高いです。ってかうるさすぎる^^;
代わりに使用するのはデュアルプロセッサを謳う320GBプラッタの640GB HDD。こちらは割と少ないデータ量であればランダムR/Wの速度もそこそこ速いため、システムHDDに合ってるHDDだと思います。しかも消費電力は約半分。動作音もそれほど気になりません。




CPUクーラーはあまり高さの余裕がないため、Core2付属の薄型のリテールクーラーを使用します。グリスにはAS-05という定番銀グリスを使用。
あとはこれらのパーツをマザーボードに乗せ、まぜっこするだけです。アハハ!超楽ちん>v<




と思っていたのですが、さすが小型だけあって配線が超難しい。スペースがなくちゃんと計画的に配線しないとケーブルが行き場を失うどころか、ケース内のエアフローを阻害して湯たんぽ状態なんていう最悪のケースになりかねない。



組み付け。グラボ用6ピン電源ケーブルを外に出しておかないと死亡フラグが立ちます(配線的な意味で)。っていうか一回死んで組み直しました。




USBやサウンドなどのIO系ケーブルも干渉したり届かなかったり。結局CPUクーラー上空に固定というベストルート(?)を見つけるまでに20分近くかかった。




終了。



〜〜設定篇〜〜
AHCIを有効にし、Windows7 Ult x64をHDDにインストール。C1Eステート有効。VT-x有効などなど。
殆どBIOSはデフォルトでの運用ですが、あとからPrime95でCPUに高負荷をかけたとき、CPUジャンクション温度が60℃弱くらいになりました。寒さで定評のある干瓢宅でこの温度はちょっと高いため、早速BIOSで設定の見直し。夏場で気温が+20℃になると、表面温度は⊿t(自己温度上分)におおよそ加算されるため、ちょっと危ない。
マザーの設定ではVcoreが-0.1Vまでしか設定できないので、とりあえず-0.1V(1.15V)に設定し、3GHzで動かしてみることにしました。Prime95、Boinc共に問題なく動き安定性は問題なさそう。温度は10℃も下がりTj50℃程度を推移し、まぁもんだいないかなと判断。

グラフィックボードですが、FurMarkで高負荷状態30分放置を行ったところ、やっぱり86℃とか凄まじい温度に達した。ファンも7000回転とかになってくるとお前ジェットエンジンかよっていうくらいすごい騒音になってくる。こんなんじゃ気になって仕方がない。

ので、GPUクーラーをサードベンダー製のクーラーに付け替え。



〜〜現行メインマシンと比較〜〜

今回作ったPC(Kaguya)と、現行メインのフルタワーPC(Reimu)。奥行きは約半分。高さは1/3とかなり小さい。置き場所にも困らなそうです。
OSは両マシン共にWindows7 Ultimate 64bit版をインストール。



-●重量

  • Kaguya ・・・5.4kg
  • Reimu ・・・24.6kg

メインPCは一念発起しないと移動する気にもならないくらい重たい。さすがに小さいだけあって重量は1/5と軽い。これだけでも随分魅力的です。DTM用途であったらこれくらいスタイリッシュにしたいところですね。「見た目」的な意味で。


-●Windows7 エクスペリエンスインデックス

  • (CPU、メモリ、Aero、ゲーム3D、HDDスピード)
  • Kaguya ・・・7.3 7.3 6.8 6.8 5.9
  • Reimu ・・・7.4 7.4 7.2 7.2 7.5

CPUは4コア3GHzと4コア3.6GHzの差。重たい処理をさせるとその差は顕著になりますが、普段Webを見るとか、程度であれば体感できるほどの差はない。
グラフィックは8800GTとGTX260の差。これもDirectX9世代のそこそこ軽いMMORPG程度であれば体感できる差は出ない。CUDAなどのGPUコンピューティング性能は、ユニファイドシェーダーの数分(112:192)の差はあるのですが、それが表面化するようなフィールドが少なく、体感できる場面というのはあまりないです。
HDDはHDDとSSDのパフォーマンス差がモロ出ている感じです。HDD単体性能としては結構ハイエンドな方なのだけど、Windowsの起動時間や、並列アクセスを行うと、HDDの方が2〜3倍長く感じる。


-●3DMARK 06スコア(デフォルト、1280*1024ドット)

  • Kaguya ・・・10039
  • Reimu ・・・15732


-●モンスターハンターフロンティアベンチマーク(1680*1050ドット)

  • Kaguya ・・・6535
  • Reimu ・・・9373

3Dベンチ系はおおむね2/3くらい、といったところ。PCMARKも走らせたかったのですが、時間が無かったので機会があれば後日見てみたいです。


-●消費電力、温度

  • Kaguya ・・・83W〜195W、CPU(Tj):29℃〜51℃、GPU:32℃〜68℃
  • Reimu ・・・91W〜313W、CPU(Tj):25℃〜43℃、GPU:40℃〜73℃

高負荷時は「FurMark+Prime95(3スレッド)+CrystalDiskMark」という構成をワットチェッカー読み。ReimuはHDD5台、3.6GHzにオーバークロック、GTX260を積んでるだけあってフルロード時は300Wを超えた。超電気食い。KaguyaGPUとReimuのCPU温度が低いのはクーラーをより高性能なものに交換しているため。
夏場どうか、は夏にならないとわからないですけど、なんとか安全圏に収まっている感じでしょうか。-100Wでこの程度の性能なら文句なしっていう感じ。




拡張性はUSBのみですが、機能を限定してしまえば小型準ハイエンドPCも何とか作れる感じ。ただ熱対策や電源容量が限定的になってしまうので、より上の無理をしたスペックや、長期で見た信頼性、後付の拡張性という部分は、フルターワーには敵わない。
今回は「余り物で」というコンセプトだったとはいえ、1/6程度の大きさでここまで作れてしまうんだなと思うとなんだかすごい。
システムストレージをSSDに、3.5インチをデータ用2TB HDDに交換すれば、「フルタワーとか空間の無駄だよねwwww」的なフルタワー乙な小型ハイスペックマシンも夢ではない。