魔法少女まどか☆マギカの衝撃力

干瓢です。地元ではまだ雪が降ったりしてます。そろそろ寒さの底といわれているので踏ん張りたいところ。


魔法少女まどか☆マギカの衝撃力


アニメ界隈はうとい僕ですが、先日、あるきっかけで「魔法少女まどか☆マギカ」が観たいと思い立ち、限定版Blu-ray全6巻を衝動買いしてしまった。Amazonで3万円ちょっと。僕のPC環境ではBlu-ray再生環境がなかったので、これを機にドライブ類なども買い揃えました。全部で4万円ちょっとの衝動買いです。アイタタ。
僕が初めてまどマギを見たのは1年くらい前、TBSの深夜放送でやっていたのを通しで1回観ただけでした。今更どうのこうの言うのも遅いかもしれませんが、良い機会なので思うところを綴ってみようかなと。
まどマギは、実はあまり積極的に話題に出したり触れたいと思った作品ではなかった。観た当時は自分の創作意欲が喪失してしまうくらい、衝撃的な作品だったからです。自分の創作がチャチく見えてしまって、手がつかない感じ。ツイッターなどで話題になっても、自分は表面しか撫でたくない感じで、あまり積極的に話題に参加できなかったし、キャラ萌え程度が丁度よかった。まどマギのせいとは言いませんが、最終回目前で東北の震災など萎える話もあって、2011年は「創作」という意味であまり前向きな年ではなかったです。
でも、やっぱりどこか気になっているんですよね。悔しいですがやっぱり、そういう前向きではない自分を知りながら観たいと思っている自分がいる。丁度ANIMAXで再放送されると言う話もあり、マミさん一周忌に偶然マミさんマグカップを引き当てるという偶然もありで、観るならせっかくだし、DVDではなくBlu-rayで、と思い立ったわけです。


・自分の子供を報われない形で殺めることはできるか

若干物語のネタバレを含むかもしれないので、イヤな人は回れ右なかんじで。
物語や小説を書いたことがある人や、妄想する人はわかるかも(?)しれないですが、自分の想像した世界に主人公がいたとします。たぶん愛着って沸くと思うんです。全ての理想を注ぎ込むわけには行かないけど、どこか欠陥があってそれを補い成長させていきたいとか、幸せになる方向へ成長させていきたいとか、自分が楽しい方向へ歩ませたいとか考えないでしょうか。そういう光る物、人間関係の可能性とかいろんな物がいっぱいつまっているキャラを、今後どんな風に育てよう、なんて。
そういうキャラをお世辞にも報われない形であっさり殺す事って僕にはできないな、と。でも持って行くことで表現できることを見出し、作品の成長の糧となっている点。結果的に相手を引き込んでくるから凄いなと。困惑しながらも続きが知りたくなってしまうんです。
3話で話題の「あの方」ですが、恐らく過去、事故時には同乗していた家族がいたはずで、ずっと独りだったんでしょうね。命と引替えに魔法少女になるという過酷な運命を背負って、のちにようやく一緒に戦う仲間が現れたことで、孤独や寂しさというカーテンが開かれ、何か一筋の希望を見出したのに、そこに待っていたのは蚊を叩くかのようなあっさりとした死。
「まぁ魔法少女アニメだろ」なんていう見方が変わったのは3話からです。あんな形で僕は心をえぐられて、4話をお楽しみに!といわれたら、まってー!かえせ俺の心!って感じで追いかけるしかないです。
脚本の虚淵玄さんは情がわいてしまって、制作中は監督に冷静に見てもらっていた、と話していますが、「そうかこの人も人間なんだな」と(笑)。そもそもこの発想はねーよ、っていう感じですけどね。僕には真似したいけど真似できないだろうな。作中ではある意味報われなかったですが、視聴者サイドから愛されている、という意味では報われていますけど。
僕は小説や物語は書きませんが、音楽という形で世界観を盛り込むことはあります。そう置き換えて捕らえると、まだ雲の上の存在なんだな、と。まだまだ、到底真似できないし、自分のやってることがチャチくて萎えてしまいます。
正直、ノれるとか、悲しい、楽しい、という「っぽい」音楽って、別に苦労しなくたって作れてしまいますからね。


・キャラの成長と魅力とは

まどマギは「点の良さ」と「線の良さ」が散りばめられている。可愛い系のキャラ、「魔法少女」というタイトルから一見軽そうに見える入り口ですが、12話と短い期間ながらも、広く深い「キャラの世界」を見せてくれます。
10話からはほむらの素性が明らかになっていき、10話を見終った後、1話からの「点」と思われた些細なことが、一本の線として結ばれるのですが、とたんにその深さを目の当たりにする。キャラとしてもなんか見てると、「何でこんなに頑張れるんだよ・・・」とか、純粋に見守りたくなる感じや、良くも悪くも成長していく、一口に言ってしまえば魅力的なんですよね。今までのはなんだったの?ずるいよ!wと言いたくなる。僕はツンデレ的な物に弱いらしい。
2周目観ると、また違った見方ができるのもいいです。1周目とは確実に見方が変わり、些細な表情、1周目ではなんとなくで流していたことに意味が含まれていたのか、という発見にもハッとする。
最近のアニメ事情はよくわかりませんが、こんなに設定が練られている物なんですかね?各所に考えさせられる「要素」が散りばめられていて、それが残り香となって尾を引く。だから何度も噛み、心に残るんだろうなと。
各話考察 - 魔法少女まどか☆マギカ WIKI - アットウィキ
作中の思いを汲んだ上で、現代に生きる人間として見れば、ですけど、まどかもさやかも、正直どのキャラも報われているとは言い難い。しかし、自然と馴染んでくる(言い換えればウザくない)キャラは観ていて肌に塗る油のようだった。どこか完結しない部分が、やっぱり尾を引くし気になる。僕が思っているアニメって普通、「アイドルはトイレに行きません」なんですけど、「トイレには行くし屁もこくし、死ぬときはやっぱり醜くかったりする、ここまで来たけど、みんなの望むとおりには行かない場合もある」って、それを自然に言われている感じがしました。それを哀れだって同情しているだけのことで、自分には何もできませんけど。


・音楽

マミさんのテーマである「Credens justitiam」や、「Pugna cum maga」といった一発で頭に残る曲もそうですが、なにより全体を通して「本編を邪魔しない」作りは秀逸だと思いました。北欧風の神秘的なイメージがよく馴染んでいるなーと。というか、音屋やってる性格上一番語るべきなんでしょうけど、正直音楽の善し悪しを考える余裕が無かったです。



いろいろ綴ってみたものの、僕にはちょっとまとめきれません。が、あらゆる所に魅力があるまどマギ
もう1年経ち今更感はありますけど、間違いなくここ数年で1番感銘を受けた作品でした。